一方で、農業や建造物検査、災害対策などさまざまな分野での活用拡大も課題といえる。高市早苗総務相は24日の閣議後会見で「ドローンは適正に利用する限りは経済社会への寄与が期待できる。災害現場の情報把握に役立つし、老朽化インフラのチェックにも役立つ。農作物の生育をチェックする場合にも役立つ」と経済産業に大きな効果がある点に言及した。
しかし、最も気になる問題は、市販されているドローンがほぼすべて外国製であり、日本製ドローンは見当たらないことだ。大げさな言い方をすれば、日本の制空権は中国製や欧米製のドローンに握られている状態だ。電波で遠隔操縦し、電波で写真や動画を送信する、いわば“空飛ぶスマートフォン”といえるドローンだが、スマホの世界と同様、中国製が急速に勢力を伸ばしているようだ。
官邸屋上に不時着したのは中国の大手ドローン製造ベンチャー、DJIの人気機種「ファントム」だった。価格帯は数万~20万円程度で6モデルあり、世界では100万台以上、日本でも5万台は売れているという。カメラや衛星利用測位システム(GPS)、公衆無線LAN「Wi-Fi」にも対応できる。1キロ以上離れて目視できない状況でも遠隔操縦できるため、輸送手段にも活用が広がっている。