羽入さんは最後に「うちが提供できるのは音楽や椅子の座り心地など、コーヒーの味以外に五感で感じる居心地の良さです。値段だけで勝負はしませんよ」と締めくくった。
バブルを固める
いまのコーヒーブームを商機ととらえる考え方はプロントだけではない。1951年から日本でコーヒー関連商品の製造・販売をしてきた老舗のUCCグループも同じだ。
上島珈琲の上島昌佐郎社長は「これまでレギュラーコーヒーをあまり飲まなかった人達が入ってきて、市場のすそ野が広がってきた」と歓迎。UCCホールディングスの上島達司会長も「今まで培ったノウハウを生かしてブームの先頭を走りたい。バブルに終らせることなく、グループの総力を挙げて膨らんだ状態で足もとを固めていく」と意気込む。
足固めの一環として同グループはこの4月、これまでの神戸校に続いて東京都港区内にも「UCCコーヒーアカデミー」の東京校を発足させた。「喫茶店や飲食店などの企業に加え消費者を含めたあらゆるお客さまにコーヒーのおいしさや楽しさの情報や提案を発信する」(山岡昭雄学長)と、駅に近いオフィス街にセミナールームを新設。コーヒーに興味を持つ人向けに会社帰りにコーヒーの淹れ方や楽しみ方を体験してもらうほか、飲食店オーナーや外食企業の従業員向けにコーヒーの抽出技術や売上げアップ方策などを伝授している。