新幹線を支える日本の部品技術 極限の安全追求が生んだ“絶対に緩まないナット” (3/4ページ)

2015.5.11 06:44

死亡事故ゼロを誇る東海道新幹線。100万キロ走行で「絶対に緩まないナット」が全て交換される

死亡事故ゼロを誇る東海道新幹線。100万キロ走行で「絶対に緩まないナット」が全て交換される【拡大】

  • 「絶対に緩まないナット」を開発したハードロック工業の若林克彦社長=大阪府東大阪市

 大鳥居がヒント

 ところが絶対に緩まないナットのアイデアが浮かばない。若林社長は毎朝、自宅近くの住吉大社(大阪市住吉区)へ散歩に出かける。大鳥居をくぐるとき、鳥居の両側にある柱と、柱を横につなぐ貫(ぬき)とが交差するところに楔が打ち込まれていることに気付いた。

 帰宅後、早速ボルトとナットの間に楔を打ち込むと、緩まないことが分かった。ただ1本ずつ楔を打ち込むことは大量生産できず非現実的。そこで上下2層構造のナットにすることを思いついた。

 絶対に緩まないナットを開発した若林社長は、Uナットの販売会社を協力者に無償で譲渡。74年にハードロック工業を設立した。その当時、阪神電気鉄道がUナットをカーブレール内側の脱線防止ガードをレールに留めるために使っていた。

 数分間隔で列車が通るため、どうしても緩みが生じ、深夜の保線作業で締め直していた。そこで「1回でいいから」とお願いして、絶対に緩まないナットを付けてもらったところ、3カ月たっても全く緩まなかった。この実績を基に、関西の大手私鉄に拡販、受注を得た。人件費の削減と安全性の向上につながったことが評価された。

JR東海からは「ハードロック工業以外のナットは使えない」との評価

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