ただ、ジャパンビバレッジの営業利益は14年12月期で約25億円にすぎず、会見では今回の買収額は割高だとの指摘も出た。これに対し鳥井社長は「資材の共同調達などで年数十億円のコストを削減すれば、収益は改善できる」と主張。また、サントリー食品が開発した新商品の投入を加速すれば、ジャパンビバレッジの自販機は新たな拡販ツールになるとしている。
安売りが定番の小売店に比べ定価に近い価格で売れる自販機は収益への貢献も大きい。このためJTの自販機事業買収を検討してきたアサヒ飲料やキリンビバレッジにとっては、今回の買収は大きな脅威となる。アサヒ飲料の自販機保有台数は28万台で、キリンビバレッジは25万台と、サントリー食品と日本コカ・コーラ(約83万台)とは3倍近い差が生じることになる。
「赤」の自販機のコカ・コーラと、「青」のサントリーに街中の自販機を席巻されることになり巻き返しに向け戦略の練り直しを迫られるのは必至。金融市場では早くも「業界の新たな合従連衡の呼び水となる可能性もある」(証券業界関係者)との声も聞かれる。