【山形発 元気印】シェルター 耐火認定初取得、木造高層ビル可能に (1/4ページ)

2015.5.28 05:00

地元の木材を使って建設された山形県南陽市の新文化会館のメーンホール。今年10月にオープン予定だ

地元の木材を使って建設された山形県南陽市の新文化会館のメーンホール。今年10月にオープン予定だ【拡大】

  • 木村一義社長
  • クールウッドの構造。中心の木材を石膏ボードで覆い、さらに木材を貼る

 木造住宅の設計・施工を手掛ける「シェルター」が開発した柱や梁(はり)などの木造建築部材が昨年末、国内で初めて2時間耐火の国土交通大臣認定を受けた。これによって4階建てまでに制限されていた木造建築が、14階建てまで可能になる。当面は国内の木造では最も高い7階建て程度のビルの建設を目指すという。

 ◆接合金物工法を開発

 耐火部材の構造は、核になる木材を石膏(せっこう)ボードで囲み、その外側をさらに木材で覆ったもの。1000度を超える炉内で2時間にわたって燃焼しても、中心材には焦げ目もつかない。木村社長は「これで木造もコンクリートと同じ土俵に立ったことになる」と胸を張る。

 耐火と並んで、高層化を支える両輪の一つが、同社が日本で最初に開発した接合金物工法だ。柱と梁、柱と基礎などのつなぎ目に金物を使うやり方で、柱に穴を開けるなどの在来工法に比べ強度が格段に高くなる。

 「KES構法」と名付けたこの工法の開発には、因縁がある。木村社長が米国留学からヨーロッパ経由で帰国する際、パリで偶然再会した友人に誘われていった展覧会で、木造と鉄骨を組み合わせた建築物に出合ったのだ。

 もともと工務店の4代目で、小さいころから大工さんたちが接合部分の面倒な細工で徹夜したりするのを見てきた木村社長は、もっと簡単に早くできる方法はないかとずっと考えていたが、その建物を見て「鉄骨でなく金物を使えばいい」とひらめいたという。

 帰国して早速、24歳で山形県寒河江市に会社を設立。「日本に全くなかった工法で、社員からもぼろくそに言われたことがある」というが、かえって信念は強くなったという。

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