プレカット材で業績を伸ばすなか、97年には、木造住宅を専門とする「ヤマシンホーム」を設立。仕入れから木材の加工・管理、施工までの工程を全て自社で行うことで中間マージンを削減した。より安価で、良質な住宅を提供している。
◆社内では反対の声
プレカット技術で木材、住宅関連の伝統事業が再び軌道に乗った96年、まったく新分野のスーパー銭湯事業に乗り出す。未経験のビジネスに当初、社内では反対の声が強かったが先代、敏夫氏の「天然温泉で和歌山の人に喜んでもらえる」との強い希望があった。
従来の銭湯の規模を拡大、豪華にしたスーパー銭湯は当時、中部圏で爆発的な広がりを見せていた。70年代に一時、ブームとなった温泉施設「健康ランド」は人気に陰りが出ていたが、銭湯と健康ランドの中間帯の料金で楽しめる施設として注目を集めていた。また、掘削技術の発達で和歌山市の市街地でも天然温泉を掘り当てることが可能になっていたことも、新事業への進出を後押しした。
97年にスーパー銭湯「ユーバス」1号店を和歌山市内に出店。初年度で約36万人の入場者を集めた。その後、大阪南部にも出店し、現在計4店を展開。天然温泉だけでなく、天然石を使った岩盤浴やジャグジー形式の温泉、一部店舗では「死海の泥エステ」などユニークなサービスを提供している。
木材業から始まり、住宅建設、スーパー銭湯など、さまざまな事業に挑戦してきた山本進重郎商店。進三氏は「当初、無理だと思っていても調査してみると可能性が見えてくる場合もある。常にニーズの変化に対応していかなければならない」とさらなる躍進に力を込めた。(土屋宏剛)
◇