中期経営計画を発表するソニーの平井一夫社長。分社化により、各事業の採算性向上を徹底させる方針を示した=2月18日、東京都港区の本社【拡大】
ベスト・バイとの提携は、販路を絞って安売りを回避し、高級品としてのブランドを維持する狙いもある。だが、失敗すれば主戦場となる米国からの撤退だけでなく、テレビ事業そのものからの撤退にもつながる。14年3月期の公約だったテレビ事業の黒字化に失敗したソニーにとっては背水の陣だった。
最終的に、専用売り場を設けた店舗のテレビ販売額は約4倍に膨らみ、収支も劇的に改善。テレビ事業は15年3月期に営業黒字を確保。それは11年ぶりに達成した悲願だった。
販売施策の転換に加え、ソニーは経営体制そのものも見直した。テレビ事業は14年7月、「ソニービジュアルプロダクツ」という会社に分社化され、独立採算制となった。
こうした改革を進めたのは、子会社のソネット社長から本社に戻り、14年4月に最高財務責任者(CFO)に就任した吉田憲一郎だ。ソニーの中堅幹部はここ数年の業績不振について「『われわれはあの革新的なソニーだ』という独善があった」と振り返る。社内に漂う「おごり」や「緩み」を一掃するため、吉田は大なたを振るった。