中期経営計画を発表するソニーの平井一夫社長。分社化により、各事業の採算性向上を徹底させる方針を示した=2月18日、東京都港区の本社【拡大】
ソニー副社長や初代CFOを務めたOBの伊庭保(79)は今月、こんな意見書を現経営陣に出した。井深大、盛田昭夫が「愉快なる理想工場」として創業したソニーに入社し、革新を目の当たりにした伊庭にとって、現在のソニーの姿は見るに堪えないものだった。伊庭は「安定志向で、投資家の方を向いている。失敗のリスクが小さなことしかできなくなる」と構造改革の弊害を訴える。伊庭は4月、ゲーム機「プレイステーション」の生みの親である元副社長の久多良木(くたらぎ)健ら大物OBとともに、平井ら現経営陣と懇談。だが、従来の説明を繰り返す経営陣との対話はすれ違いに終わったという。
現経営陣は分社化などでコストを抑制し、財務基盤の改善を待って攻めに転じようともくろむ。しかし、輝いていた時代を知るOBからは、縮小均衡でソニーが「普通の会社」になってしまうという不安の声も根強い。(敬称略)