通常、データ転送には1ギガ程度で10時間以上かかり、途中で中断すると最初からやり直さなければならない。このため転送終了時間が読めず、編集業務などに支障をきたすケースも少なくないという。
そこでデータ容量が大きい場合は、バイク便や手持ちに切り替える企業も出ている。転送に時間がかかるなら届けた方が早いためだが、渋滞や天候不順などで到着時刻が見通せなかったり、急ぎ利用する場合はドライバーが不在だったりと時間的・人的制約を受けることも多い。
日本VTRは「情報の鮮度を重視する映像業界なので安定した高速回線インフラへのニーズは強い。バイク便と戦う」(大西亨・技術部長)ことを決め、大容量データを高品質に転送できる技術をもつインターナップに開発を持ちかけた。
同社は顧客目線でソフトウエアを選定して提供するのに強みを持つ。今回は映像編集向けに便利な機能が備わった海外の高速ファイル転送アプリを選択。その上で、本番同様のインフラ環境を整備して検証。十分に実施可能なことが分かったため、「通常なら日本VTRと契約してからテストしてもらうが、自信があったので検証環境を無償提供」(インターナップの間庭一宏・技術部マネージャー)。日本VTRも効果を確認し、サービス提供に乗り出した。