新たな経営陣やコンサルタントが目を向けなければならないのは、当該企業の今後の稼ぐ力と、それによって生み出される将来的な雇用である。このうち稼ぐ力の見極めは、客観的かつ社会科学的な数値や戦略の成否で検証すべきものであり、人間の感情や感覚をベースにしたものであってはならない。将来の企業価値は、過去の経営責任とは独立して分析されるべきものである。
人間が病気になるケースでも、本人の不摂生だけが理由ではないだろう。早寝早起きで、暴飲暴食もせず、健康に気を使って生活をしていても、インフルエンザになったり、ぎっくり腰になったりする。遺伝的なものや加齢による病気もありうる。理由は複合的であり、正義感という共同幻想を持って業績不振企業の過去を追及していくことは生産的ではない。将来の稼ぐ力を見極める際に、重要な本質を見誤る可能性すらある。
前経営者といういけにえを必要とするような企業再生プロセスは、現代の日本では必ずしも必要ではない。企業再生は、後ろを振り返る作業ではなく、前を向くプロセスである。
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【プロフィル】松岡真宏
まつおか・まさひろ 東大経卒。野村総合研究所、バークレイズ証券、UBS証券、産業再生機構を経て、2007年フロンティア・マネジメントを設立し、代表取締役。複数のアナリストランキング小売り部門でトップを獲得。著書は「時間資本主義の到来」ほか多数。47歳。愛知県出身。