タカタ製エアバッグの異常破裂で、リコール(回収・無償修理)件数が急拡大している。国土交通省に23日までに届け出た対象台数は、自動車13社(海外現地法人含む)の計976万7227台と4月末の3倍超に増えた。異常破裂の原因が特定されない中、不具合が起きていない車種も対象とする「予防的リコール」が相次ぎ、交換部品の調達や所有者への周知徹底などの課題が浮上している。
(会田聡)
「不測の事態を避けるために予防的措置を拡大している」。日本自動車工業会の池史彦会長は23日の記者会見でこう説明した。
国交省によると、4月末までのタカタ製エアバッグ関連のリコール対象は約305万台で、改修率も78%に達していた。だが、海外で異常破裂が原因の可能性がある死亡事故が広がり、各社は国内でも予防的リコールを強化。5月から届け出が相次ぎ、6月末の改修率は46%まで低下した。
23日にも三菱自動車のタイ法人がピックアップトラック「トライトン」1396台のリコールを届け出ており、収束の気配は見えない。そのため一部販売店は、顧客に「リコールの注文が殺到していて修理のめどが全く立ちません」と告げるなど苦渋の対応を迫られている。メーカーからは「タカタからの交換部品の調達が追いついていない」という声も上がる。
また、所有者への周知も難航している。6月には静岡県磐田市で、日産自動車のスポーツ用多目的車(SUV)「エクストレイル」が衝突事故を起こし、助手席側のタカタ製エアバッグが異常破裂した。助手席に同乗者はいなかったが、男性運転手が事故で左ほほなどにやけどを負っている。