【健康と向き合い一世紀】(3)深まる親子のコミュニケーション (1/2ページ)

2015.7.31 05:00

「カルピス」を作る体験が人を思いやる心を育む

「カルピス」を作る体験が人を思いやる心を育む【拡大】

 観察調査では、「カルピス」を親子で作って飲むことが、親子のコミュニケーションを深め、子供が自分で考える力を育てることが見て取れた。さらに注目したいのは「人のためになにかをすること」や「もてなす体験」の重要性である。親子の映像の中では、母親のために作った「カルピス」を子供が差し出すという場面が何度も現れる。「おいしい」と言って飲む母親を見つめる子供の表情には、大きな満足感が感じられた。

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 「おいしかったよ。また作ってね」と言われたことが自信となり、「誰かのためにしたことが喜んでもらえた」という成功体験として積み上がっていく。こうした「もてなす体験」は人を思いやる心を育み、心の成長と社会力・情動力の発達を促す機会となる。

 ◆挑戦への心の基礎づくり

 さらに、質問紙による調査では、他の活動の際の子供の様子と比較し、「カルピス」作りは「調理」や「お絵かき・工作」よりも、考える工夫をし、人を思いやる発言や行動が多く見られるという結果が得られている。「カルピス」を作るという作業そのものは簡便かつ安全で、小さな子供にも任せやすい。子供が自分なりに考えて工夫しながら取り組む場面を親が過剰な手出しをせずに見守ることができる。

 また、大きな障害にぶつかることなく短時間で結果を得られるため、子供が飽きずに集中しやすいという点も取り組みやすいのではないだろうか。一方、簡便でありながら、濃さを調整するなどの適度な難しさがあるからこそ、思考力も鍛えられる。最初は親に教わりながら、集中して取り組み、次第に自分の力でできるようになると達成感につながる。これは、子供が成長していく課程で出合う、あらゆる挑戦に立ち向かっていくための心の基礎づくりになることであろう。

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