この調査結果を受けて、カルピス社との共同研究に携わった白百合女子大学文学部教授で生涯発達研究教育センター所長の田島信元氏は「子供の自立は究極の子育ての目標である」と語る。
「子供は、親に面倒を見てもらってできたことをいつか自立的にやりたがるようになる。そして、それを家族や友達など、人のためにできるようになったとき、子供の経験は確実に身についていく。そして、その達成感や喜びを通じて、次の新しい活動への積極的な意欲となる」と、成長した自立心が次の一歩へとつながっていくことを示す。
さらに、「親子のやりとりを通して、自身の成果をきちんと他者に対して自己表現していく能力や、きちんと他者の言うことを受容できる態度といった社会力も育つ」と、親子のコミュニケーションが生み出す効果についても指摘する。
◆子育てに取り入れる
「『カルピス』を作るという活動は、子供が気軽に手を出せ、親も安心して任せられる側面がありながら、科学的・論理的活動である調理活動の側面もしっかりもっている。入門的な中にもしっかりと子供の成長・発達のために貢献できる優れた活動である」と、子育てに取り入れることの有効性を語った。
大人になっても、懐かしい思い出としてほのかに残り続ける「カルピス」の記憶。それは、母親と一緒に作ったことや、さまざまな濃さに調整して好みの味にたどり着いたことなど、「作る」という行為によって、より強い印象となって刻み込まれている。“希釈して飲む”という独特の文化を持つ「カルピス」は、これまでも多くの人の心の成長に貢献してきたに違いない。