今回の調査結果においては、「カルピス」の飲用期間8週間の前後において、「全体的健康感」「日常役割機能(精神)」「心の健康」など、複数の評価項目においてスコアの上昇が見られた。一方、カルピスを飲用しない非飲用期間では有意なスコアの上昇は表れていない。また、精神健康度や体調アンケートにおいても、スコアの向上や改善が認められるという結果が得られた。
調査に参加した高齢者からは「『カルピス』をコップに入れて作るのがとても楽しみになった」「夫婦で調査に参加し、共通の話題ができて会話が増えた」など、毎日作って飲む行動を習慣にしたことで、暮らしにハリが出たとの声も聞こえた。また、「幼い頃に亡き母が作ってくれたことを思い出した」「『カルピス』をお中元でいただくと、子供心にうれしかった」「子供が幼い頃によく飲ませていた」など、子供の頃の母との思い出、自分自身の子育て時代などに思い出を重ねた参加者も多い。
◆日本文化として根付く
岩城島では「カルピス」の調査をきっかけに広がった高齢者同士のコミュニケーションの輪を、さらに世代を超えた交流イベントへと発展させているという。島に唯一ある保育所で、高齢者による「絵本読み聞かせ会」を行い、子供たちと一緒に「カルピス」を作って飲むなど、コミュニケーションの橋渡し役として役立てられている。“水で希釈する”という簡便な作業は毎日続けやすく、誰もがその作り方や味を知る長く親しまれてきた飲料だからこそ、家族や地域をつなぐ共通の話題にもなりやすい。食品や飲料は、時代ごとのはやりが移り変わり、消費者の年齢の積み重ねによって好みも変化するため、ひとつのものが世代を問わずに愛され続けるという例は希少である。