◆独創のラインアップ
寺田社長がクラフトビールの自家醸造に興味を持ったのは2年前に遡(さかのぼ)る。川崎市多摩区でクラフトビールの専門店「ムーンライト」を経営し、昨年77歳で亡くなった山中貞博さんと出会った。ムーンライトのクラフトビールを自社店舗で販売したいと相談したところ、山中さんから「うちの商品を販売するのではなく、自分でビールを造ってみないか」と提案された。「お酒は仕入れて売るものだと思っていたが、話を聞いた瞬間に『これだ!』と思い、その場で即決した」と振り返る。
その後の動きは早かった。自ら酒類製造免許のための勉強を始め、煮沸釜などクラフトビール造りに必要な道具をそろえた。今年2月に免許を取得してからは理想の味を求めて試行錯誤の日々が続いたが、ついにおいしさと独創性を兼ね備えた珠玉のラインアップがそろった。
「T.T BREWERY 中島工場」で造られたクラフトビールは、リープの経営する「T.T BREWERY 川崎チネチッタ通り店」(川崎区)で常時7種類を提供するほか、別店舗ではそれぞれ異なったオリジナル商品を開発して提供を始めた。
例えば、お好み焼きともんじゃが食べ放題の「SABOTEN 仲見世店」(同)では、ピルスナーの優しい飲み口にハレタウホップをふんだんに投入してできた「サボテンエール」を提供。寺田社長は「クラフトビールと知らずに飲んだお客さまが『これ何? おいしい』と反応してくれるのがうれしい。食事だけでなく、クラフトビール目当てにお店を訪れてくれたら」と期待を込める。
全国的に醸造所が急増し、ビール大手も参入するなど盛り上がりを見せるクラフトビール市場だが、「味はもちろん、アイデアで差別化を図っていく」と意気込む。(古川有希)
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