しかし、今回の問題で東芝への周囲の視線は厳しくなっている。不祥事発覚前から取締役だった室町氏が社長に就く以上、他のメンバーを大幅に刷新しなければ、株主の理解は得られない。社外取締役の顔ぶれが焦点となった。
先月29日に発足した経営刷新委員会。以前からの取締役4人らでつくる委員会だが、「オブザーバー」として名を連ねた小林喜光・経済同友会代表幹事(三菱ケミカルホールディングス会長)が鍵を握る存在となった。小林氏は取締役会議長への就任は固辞したものの、刷新委の議論を主導。特に経営の執行と監督を分離すべきだとの主張は新体制に反映され、それまで取締役会議長を兼務していた会長職は空席になった。
小林氏は、多忙を理由に当初難色を示した社外取締役就任は受け入れた。池田弘一・アサヒグループホールディングス相談役や前田新造・資生堂相談役の就任にも、西室氏の人脈が生かされたようだ。その結果、社外取締役は全員が65歳以上と“高齢化”。西室氏に頼らざるを得なかったところに、取締役の半数が辞任した同社の人材不足による苦境が見て取れる。
コーポレートガバナンス(企業統治)の観点では、過半数の社外取締役が社長ら経営の執行者を監督する体制ができたといえる。18日夜の会見では、伊丹委員長が「社長への無記名の信任投票を行う制度などを提言した」と説明した。