日本銀行の調査によると、都市銀行の6月の貸出約定平均金利が6月にストックベースで0.987%となり、初めて1%の大台を割り込んだ。同じく地方銀行は1.214%、第二地銀は1.461%と低水準で、いずれも一貫して低下傾向にある。一方、6月の新規ベースの貸出約定平均金利は、都市銀行が0.608%、地銀が1.231%、第二地銀が1.400%で、月ごとにばらつきがあるものの、総じて低下基調にある。特に都市銀行は新規の約定金利とストックの約定金利との差が大きく、返済期限が到来した貸し出しがロールオーバーされる都度、より低利の貸し出しに振り替わることで金利が急激に低下し続けているようだ。
この点について、全国銀行協会の佐藤康博会長(みずほフィナンシャルグループ社長)は7月16日の記者会見で、今年度第1四半期の決算見通しと絡めて次のように語っている。「ずっと以前から国内貸出スプレッドの縮小傾向は続いている。貸出残高の増加を、貸出スプレッドの縮小が打ち消しており、国内銀行の貸出ビジネスの環境は目立って改善しているわけではないと考えている」
メガバンクの2015年3月期決算ではトップの三菱UFJフィナンシャル・グループが邦銀で初めて連結最終利益が1兆円を超えるなど、3メガバンクとも高水準の利益をたたき出している。しかし、その内訳は、海外部門の収益に大きく依存するもので、マザーマーケットである国内での貸出収益は圧迫され続けている構図がみてとれる。