健康を考えて喫煙をやめるか否かという悩みに世界最大のたばこ会社、フィリップモリス インターナショナルが今月から発売を開始した「iQOS(アイコス)」で第三の選択肢を示している。7年以上かけ、20億ドル以上を投資し、400人以上の科学者と研究者を投入して誕生させた電気加熱式たばこ。フィリップモリスジャパンも「iQOSとともに新時代が始まる」と意気込んでいる。
電子タバコとは違う
東京・JR秋葉原駅近くの喫煙スペースを訪れると中で部屋が2つに分かれていた。一方がたばこ用で、もうひとつが「iQOS(アイコス)」用だという。なぜ部屋を分ける必要があるのか? 答えは明快だった。「iQOSは、ほとんどたばこじゃありませんからね」
iQOSは、たばこそのものではなく、たばこを加熱するためのホルダーを含めたセットの名称になる。ホルダーに専用の短いたばこ「マールボロヒートスティック」を差し込み、内部の金とプラチナの板で加熱して蒸気を吸い込む。
溶液を電気式の吸引器で加熱する「電子タバコ」とは違い本物の葉を使うので、味わいや吸った感覚は一般的なたばこに近い。本体セットが9980円、マールボロヒートスティックは4種類で各20本入り460円。煙も灰も出ないのが特徴だ。
ニコチン以外に着目
健康被害の原因として真っ先にやり玉に挙げられるのはニコチンだろう。しかし、英国立臨床研究所が明らかにしたように、800度にも達する燃焼で生じる煙に含まれる様々な毒性物質が、深刻な健康被害を引き起こすことは意外と知られていない。