都心の免税専門店では、連日のように訪日外国人観光客が買い物に訪れている=東京・銀座【拡大】
創生へ政府も後押し
ただ、全国の免税店約1万9000店の3分の2が三大都市圏にあり、訪日客の消費活動は銀座などの都市部が中心だ。
銀座でさえも、急増する訪日外国人観光客を迎える環境が整っていない。観光バスの乗降場所が少ないこともその一つだ。路肩に止まっている観光バスが渋滞を引き起こしたり、歩行者の妨げになったりすることもある。森ビルやJ.フロントリテイリングが松坂屋銀座店跡地に建設を進める再開発ビル(16年11月開業予定)では、初めて観光バスの乗降場所を設ける。渋滞解消につながるとの期待もあるが、観光バスは多い日で数十台も押し寄せており、効果は未知数だ。
そんな中、観光庁を所管する国土交通省は「観光立国」「地方創生」を推進する立場から、地方の免税店を後押しする。同省は16年度税制改正要望で、訪日客向けの消費税免税制度の拡充策として、免税対象となる最低購入金額を「1万円超」から「5000円以上」に引き下げることなどを盛り込んだ。家電や時計といった高額商品だけでなく、民芸品など少額の買い物でも免税を受けられるようにするためだ。実現すれば、地域振興や地方の免税店登録数の増加が期待される。
20年に開催される東京五輪・パラリンピックに向け、訪日客は右肩上がりの伸びが予想されており、官民を挙げたおもてなしの質の向上が求められている。