王子ホールディングスと三菱化学が開発したCNFの透明シート【拡大】
製紙大手では、九大と研究を進めてきた中越パルプ工業も生産増強を計画しているほか、大王製紙も愛媛大と包装材料などへの応用を探っており、一気に普及しそうな気配だ。
もっとも、CNFは夢の素材といわれる分、技術的課題が少なくない。たとえば、樹脂とCNFをなじませることは、水と油を混ぜるようなもので、高度な技術が求められるという。また、現在の製造コストは1キロ当たり数千~1万円と、炭素繊維の3000円程度より高い。
ただし、価格については量産効果で一気に下がる可能性がある。実際、20年ごろには1000円程度まで下がるとの予測があるほか、潜在的には500円以下に抑えられるともいわれる。
森林資源の有効活用
日本は国土の7割を森林が占めているにもかかわらず、ほとんど活用されず、眠ったまま。CNFの普及は、森林資源の有効活用や過疎化の防止に道を開く。