会見する東芝の平田政善・代表執行役上席常務(右)=7日午後、東京都港区の東芝本社(三尾郁恵撮影)【拡大】
東芝は7日、旧経営陣の提訴に踏み切った。利益水増し問題の責任を明確にして社内外の信頼を回復し、会社の再生につなげるためとされるが、実態は株主らに背中を押されての提訴といえる。対象者は5人に絞られ、高額報酬を長年得てきた元社長も含まれることを考えると総額3億円という損害賠償の請求額は必ずしも高額ではない。このままでは東芝の再生はおぼつかない。
「決算発表の場ですので…」
公表された旧経営陣の提訴に関する質問について、7日の記者会見に臨んだ平田政善最高財務責任者は回答を避けた。会見場に室町正志社長が姿を見せなかったことからしても、会社としての提訴への強い決意はうかがえない。
もともと、役員の責任を調査する委員会を立ち上げたのは9月中旬で、第三者委員会の調査報告書が出てから2カ月も経過していた。9月上旬に株主が歴代役員28人に計10億円の損賠請求訴訟を起こすよう同社へ求めたのを受け、急ごしらえしたとみられる。