確かに、膨大なマニュアルのBCPを策定することを主な目的とすれば、作業工程で疲弊してしまう。しかし、BCP策定過程で進められるリスク要因の洗い出しや、業務フローを通じた収益構造の確認などの経営内容の整理は、最大級の成果である。BCPを見直す訓練も同様であり、地域防災支援協会はモックディザスター(模擬災害対応)トレーニング、テーブルトップエクササイズ(机上演習)などの訓練手法を用いて、訓練参加者が課題や論点に「自ら気づく」よう指導している。このような訓練を経営上層部や営業など他の部署と合同で実施することにより、気づきが共有できるようになる。
最後に、企業は災害による被害に対して危機意識を持つべきであり、災害に対応できなければ厳しい結果になることを指摘したい。1995年に発生した阪神・淡路大震災で、ケミカルシューズ産業や港湾物流の拠点であった神戸港は、甚大な被害を被ったことで業務が停止し、他の地域へその機能が移ることでシェアを失う結果となった。
今後30年以内に70%の確率で発生すると予測されている首都直下地震や南海トラフ巨大地震は、短・中期的に見て確実に起きるリスク要因として認識しなければならない。当協会としても、企業や官公庁、地域住民の防災対策を支援し、被害の軽減に努めていく所存である。(この項おわり。次回から日本介護福祉グループの藤田英明社長が介護離職問題などについて執筆します)
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【プロフィル】三平洵
みひら・じゅん 慶大院政策・メディア研究科修士修了。東工大グローバルCOE研究員(RA)などを経て、2007年イオタ入社、12年代表取締役(現任)。14年一般社団法人地域防災支援協会を設立し、代表理事。東京都総合防災部主催の講習会で講師を務めるなど、防災対策に精通。33歳。東京都出身。