飲料大手のキリンビバレッジ傘下で自動販売機事業を担うキリンビバレッジバリューベンダーが、消費電力量を抑えた省エネタイプの自動販売機の導入を進めている。省エネ自販機は冷却庫から出る廃熱を利用したり、保冷・保温能力を向上させるなど複数の環境技術を組み合わせ、消費電力の大幅削減を実現した。同社では年間消費電力量が700キロワット時を下回る自動販売機を“超省エネ自販機”として位置付けている。
◆核はヒートポンプ技術
キリングループでは環境保全機運が高まる中で、生産から物流、販売、再生、廃棄などにいたるまでのバリューチェーン全体でのCO2(二酸化炭素)排出量を2050年までに1990年比で半減させる目標を掲げている。これを達成するための一環で、超省エネ自販機の導入を急ぐ。
超省エネ自販機の核となる技術は「ヒートポンプ」だ。これはエアコン暖房などでも使われている機能で、温度の低いところから温度の高いところへ熱を移動させる仕組み。空気中などから熱を集めて、熱エネルギーとして利用する。使ったエネルギー以上の熱エネルギーを得ることができる省エネ技術だ。
ヒートポンプが導入される前の自動販売機の年間消費量は1500~2000キロワット時とされていたが、08年の導入以降、消費電力は大幅に削減。従来機と比べて約3~5割ほど削減したという。現在は「庫外の熱」を利用して「加温」することで省エネ性能を向上させた新型モデルも登場している。