◆庫内外の各壁に真空断熱材
省エネ技術はヒートポンプだけではない。自販機の庫内外の各壁に真空断熱材を多用し、断熱性能を高めた魔法瓶のような構造をもった技術だ。同技術により自販機で物を冷やすために欠かせない部品であるコンプレッサーを最大14時間停止しても、商品の飲み頃の温度を維持できるという。
また、LED(発光ダイオード)を採用した自販機も右肩上がりで伸びている。同社では12年に採用された全自販機に導入、15年10月末時点の採用実績は9万台を突破した。
キリンビバレッジバリューベンダーが国内で展開する自動販売機数は約25万台。このうち約6割にあたる約15万台で既にヒートポンプが採用されている。残り約4割についてもヒートポンプ採用モデルへの切り替えを目指す。同社の高橋克巳・イノベーション推進部販売機器担当部長はその時期について、「2020年ぐらいには全自販機の切り替えが進むだろう」と予測する。
目覚ましいスピードで省エネ性能が向上する自販機だが、業界内では「今後、性能の飛躍的な向上は難しい」といった技術的な限界説がささやかれている。高橋氏も「ヒートポンプなどの現在の技術でさらに性能を向上させるのは難しい」と話す。ヒートポンプ技術や真空断熱材などの改善の余地がほとんど残っていないとみられるからだ。「技術革新がなければ、大きな向上は難しい」(高橋氏)と危機感を募らせる。
キリンビバレッジグループでは、自販機そのものの省エネ化だけではなく、無線機器などを活用し、物流ネットワークを見直したり、配送ルートの効率化などでさらなる省エネを実現しようとする試みに着手している。省エネ化に向け知恵を絞る日々は終わりそうにない。(松元洋平)