【クールジャパンの匠たち】精密で根気よく 服作りに日本の感性 (2/3ページ)

2015.12.19 05:00

大丸製作所2で作られたプロダクツを集積させ、東京・新宿の伊勢丹百貨店の空間に生み出されたインスタレーション。一つ一つの造形にデザイナーの思いが込められている

大丸製作所2で作られたプロダクツを集積させ、東京・新宿の伊勢丹百貨店の空間に生み出されたインスタレーション。一つ一つの造形にデザイナーの思いが込められている【拡大】

  • 大丸製作所2のフロアでは、若い日本人クリエーターが製作に携わる

 「主役はデザイナーです。デザインに敬意を払い、黒子に徹しながら、彼らが思う以上のものにして、私たちからも何かを与えたい。繊細に心を配る日本人的な姿勢が評価され、柔軟に適応する力が受け入れられているのではないでしょうか」

 2006年、とあるブランドに誘われ、至れり尽くせりの条件でニューヨークの土を踏むが、全てはキャンセルとなる。身一つでスタートし、わずか2年で会社を立ち上げた。

 「アジア人の男4人でルームシェアをし、人づて、口コミで服作りを頼まれ、物々交換のように英語を教わりました。半年ほどしたある日、有名ブランドから声が掛かって面接にいくと、ようやく聞き取れたマリー・アントワネットという言葉だけを頼りに、1週間で3着作ることになりました。帰る足で99か89ドルの安いポータブルミシンを買いました。ものづくりは共通言語。見せて駄目ならそれまでと腹をくくりました」

 デザイナーの思いをしなやかにすくい取り、開花させるものづくりは、またたく間に評判を集めた。腕利きの祖父が木工家具の製造を始めた家に生まれ、3代目となるはずだった。

 「特別な考えもなく進学を目指す高校生活に疑問を抱き、ただ長男というだけで家業を継ぐことにも反発して、服作りを始めました。ニューヨークで追い詰められても帰る場所はなかった。18歳の頃、仏壇そばの机は祖父が初めて作ったものだと教えられ、その確かな存在感から、初めて信じられるものが得られたと意を強くしました。家業とは全く違うことをと走り出したものの、ものづくりの道にいたのです」

 家業の商号に2を加えて会社名とした。精神を受け継ぎ、技術の継承も意味している。

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