◆帰省中も仕事に没頭
開発期間はわずか2カ月。それからは1日14~15時間、土日もなく開発に没頭した。午前3時に起床し、6時まで仕事をして子供を保育園に送り出した後、9時から午後6時まで働く。家事をこなし、子供が就寝する午後10時から深夜までパソコンに向かったこともある。
年末年始に帰省した夫の実家でも仕事に打ち込んだ。休みなく働くめまぐるしい日々だったが、「大きな仕事に関わるチャンスを与えられたと思いうれしかった。リリース予定までに仕上げようと必死だった」と振り返る。
こうして2カ月後の15年1月28日に、サイトをプレリリースし、2月4日に正式オープンした。全く宣伝をしていないにもかかわらず、スタート直後に100人の縫製職人から応募があった。サービス開始から1年足らずだが、これまでにユーザーが2500人、登録職人は数百人にまで広がった。
現状では発注時にデザインやパターンなどをきめ細かく指示する必要があるので、縫製に関する知識が必要で個人には使いにくい。しかし今後は個人の利用者を増やすため、「あの女優が着ている服がほしい」といった要望に対して、画像などを通して直感的に発注できるようにする。
「ヌッテが『バーチャル縫製工場』となって、新たな『ミニアパレル業界』を作り上げたい」と縫製業の再興を誓う。(佐竹一秀)
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≪Q&A≫アイドルの衣装なども生産
--縫製業との関わりは
「個人的に手芸を趣味にしていて、子供の服を手作りしている。フリーで仕事をしていたときに、子供用のバッグや上履き入れなどをつくって、ネットオークションに出したところ20点が売れた。手芸が得意な家庭の主婦とユーザーを結びつけられればいいなと思ったが、どうやってビジネス化すればいいか分からなかった」