アサヒグループホールディングスの泉谷直木社長兼CEO(松元洋平撮影)【拡大】
--足元の消費動向は
「二極化、多極化の動きが強まっている。富裕層や中間層での違いはあるが、花粉症に効果があるとか血圧を下げる効果があるといった機能性のある食品や飲料ならば少し値段が高くても購入するという消費者が増えている。今後、機能性や便利なものを求める動きが一段と強まる」
--ビール業界の再編が世界的に進んでいる
「巨大ビールメーカーと規模で競争する方法はない。ただ、統合は国によっては独占禁止法などに抵触するため、事業の一部売却や、2位、3位グループの再編も予想される。各社の思惑が一致すればもう一度、世界的な再編が起こる可能性はあるだろう」
--世界的な再編は日本のビール市場にどう影響するか
「海外ビールメーカーの製品が日本に入ってきて、一気にシェアを奪っていくことは難しいと思う。ただ、海外勢の資本が入ってくることは考えられる。米国市場はクラフトビール(地ビール)の台頭でメジャーブランドが苦戦しているし、将来の成長市場である新興国の成長は鈍化している。このため、投資先を入れ替える可能性は十分にあるだろう」
--アサヒグループホールディングス(HD)の課題は
「海外事業の強化だ。平成26年12月期時点の海外事業の売上高比率は13%と低い。海外事業はこれまでオセアニアとアジアを中心に展開してきたが、今後は欧米への投資を拡大する。早期に海外事業の売上高比率を30%に高める」