東京ガスのガス機器販売店では電力販売用ブースが設置されている=東京都港区【拡大】
仙台市ガスは顧客数約35万件で、民営事業者を含め全国9位の規模を持つ国内最大の公営ガス事業者。東ガス首脳は「政令市・仙台を中心とした顧客網は魅力的だ」と指摘。「仙台市とはコンタクトを取り続けている」と買収に向け意欲を示す。
東ガスが仙台市ガスの買収を検討するのは2回目。前回は08年に東北電力、石油資源開発と手を組んで数百億円に上る買収に乗り出したが、同年のリーマン・ショックによる経済情勢の悪化で断念。同市も10年4月を予定した民営化を先送りした経緯がある。
だが、15年2月、都市ガス小売りの全面自由化の方向性が定まったのを受け、仙台市が民営化の検討を再表明。同年4月には民営化の実行部隊となる事業改革調整室を同市ガス局に設置した。料金変更に議会承認が必要な公営ガスは制約で自由競争に取り残される可能性が大きく、民営化は必至とみられる。
仙台市ガスは既に「都市ガス小売りの全面自由化を見据え、民営化に関心のある事業者とのヒアリングを始めている」(事業改革調整室)という。今春までに民営化を再決定し、16年度に公募・入札を実施し、譲渡先企業を決める公算が大きくなっている。
仙台市ガスの民営化をめぐっては東北電も経営トップが記者会見で言及するなど関心を示しており、前回と同様、東ガスと東北電で協調体制を敷く可能性もある。