携帯電話各社が電力小売りに乗り出すのは、端末や料金の差別化が難しくなる中で、顧客囲い込みを強化する必要があるためだ。ソフトバンクに続き、KDDIやNTTドコモも電力とのセット割を始める方針で、各社間でセット割の競争も激化しそうだ。
ソフトバンクはもともと、料金値引きに敏感な若者層を取り込んできたが、こうした利用者は他社に移りやすいため、近年はシニア層向けのCM放映などターゲットを切り替えてきた。SMBC日興証券の菊池悟シニアアナリストは「シニアの囲い込みのため電力という選択肢はぴったりだ」と評価する。
既に発表したジュピターテレコム(JCOM)や、来週前半に発表するKDDI、検討中のドコモなど、4月以降は通信事業者の電力とのセット割が一般的になりそうだ。ただ、12日に発表したソフトバンクは毎月100~300円の値引きにとどまっており、どこまで顧客にアピールできるかは未知数だ。
ソフトバンクの宮内謙社長は同日、電力を第1弾として、今後も保険や教育など携帯電話料金とのセット割を行うサービスの提供に向けて、他社との提携を検討していることを明らかにした。