■相互補完関係で統合メリットに自信
--出光興産との経営統合を決めた理由は
「われわれの使命は石油の安定供給。石油は危険物で、安全配慮の面からその取り扱いにはある程度の資金力が必要だ。一方で、少子高齢化やエコカーの普及でガソリン需要は減り続けている。もうけが減って財務体質が悪化し資金不足に陥れば、今のような安定供給はできなくなる。そのため、3年ほど前から統合は避けられないと感じていた」
--なぜ相手が出光だったのか
「製油所の面でいうと、東日本では昭和シェル石油は川崎市に拠点があるが北にはない。一方、出光は北海道に拠点がある。逆に西日本は弱点。拠点は愛知県までだからだ。昭シェルは山口県に拠点を持つ。給油所も、昭シェルが大都市に集中しているのに対し、出光は全国を網羅する。エネルギーの多様化という面では、昭シェルは太陽光発電に力を入れている。出光は風力や地熱発電に軸足を置く。補完関係が一番あり、統合メリットが大きいと判断した」
--新会社の詳細は
「決まっているのは今年10月から来年4月までの間に発足するということだけ。(独占禁止法による)公正取引委員会の審査次第だ。審査が終われば、統合比率や社名、役員構成について議論し統合の合意書をつくる。既に合併5年後に500億円の効果を生み出す計画を公表しているが、製油所の一体運営だけでなく、物流の最適化などが見込めるので、計画の前倒しに加え金額の上積みもできそうだ」