大阪市阿倍野区にあるシャープ本社ビル【拡大】
官民ファンドの産業革新機構は29日、外部有識者を含む意思決定機関の「産業革新委員会」を開き、経営再建中のシャープの支援策を議論した。3000億円規模を出資して、傘下に収める意向で、シャープも受け入れる方向。業績不振の主因とされる液晶事業を本体から切り離し、機構が大株主のジャパンディスプレイと統合させる案も浮上している。高橋興三社長ら現経営首脳らには退陣を求める見通しで、主力取引銀行に追加の金融支援を要請し、国主導で立て直しを目指す。
政府は、機構のシャープへの出資を通じて液晶技術の海外流出を防ぎ、シャープの洗濯機や冷蔵庫など白物家電事業も、東芝の同事業との統合により、業界再編を進める意向だ。
シャープには昨年9月時点で約7600億円の有利子負債があり、経営の重荷になっている。機構は出資の前提条件として、みずほ銀行、三菱東京UFJ銀行の主力2行に対して3500億円規模の金融支援を要請する方針。1500億円は債務を株式化し、2000億円の優先株をほぼ無償で償却して実質的な債権放棄となる見通し。