クラウンを生産するトヨタ自動車の元町工場=愛知県豊田市【拡大】
トヨタ自動車が国内全工場で約1週間の生産休止を決めたことは、生産効率の追求と、安定した供給網(サプライチェーン)の確保を両立することの難しさを改めて示した。必要な量の部品を適時使う「かんばん方式」と呼ばれるトヨタ流の生産方式は、生産現場の在庫などムダを徹底的になくして業績拡大につながった。だが、一部部品の生産が滞れば供給網全体に影響がおよび、生産効率が犠牲になる「もろさ」への対応という課題も残る。
トヨタが東日本大震災時の生産を休止したのは、被災工場からの部品供給ストップや、一部交通網の寸断で輸送が滞ったことが要因だった。だが、今回は愛知製鋼が代替ラインで生産を続け、神戸製鋼所など他社へも生産委託する。特殊鋼の一部製品は代替生産が難しく「発注から納入までに要する時間を考えると納期が厳しい」(関係者)とするが、一定の部品供給は維持している。
それでも生産休止に踏み切るのは、トヨタが追求する効率や品質が犠牲になる恐れがあるからだ。かんばん方式は一部部品の納期の遅れで、工場全体の稼働率が大幅に落ちる傾向がある。生産を急げば不良品が発生する恐れもある。
トヨタは「部品不足のみならず総合的に判断した」と説明し、復旧後の挽回生産で高効率を維持する考え。震災後に進めた代替部品供給先の明確化など対策を進化させ「競争力のある工場づくり」につなげられるかが問われる。(会田聡)