製紙大手が東南アジアへの進出を加速している。日本製紙は2日、ベトナムに駐在員事務所を開設したことを明らかにした。ベトナムでは、王子ホールディングス(HD)の段ボール工場も1月に稼働した。国内の紙需要が減少する中、新興国の成長の取り込みを急ぐ。内需主導の代表的産業とされる製紙でも海外進出が喫緊の課題となっている。
日本製紙はホーチミン市に駐在員事務所を開いた。当初は数人で業務を行い、現地の情報収集や市場調査にあたる。
同社は、現地企業のサイアムグループと合弁事業を展開するタイに事務所があるほか、昨年8月に東南アジアの販売統括会社をシンガポールに設立。自社拠点を構えることで、現地ニーズをより細かく吸い上げる。
昨年4月にスタートした3カ年の中期経営計画では、最終年度となる2017年度の海外売上高比率を14年度末の13%から20%に高める方針。子会社のオーストラリアンペーパーがある豪州を含め、“地の利”がある環太平洋地域に狙いを絞って事業拡大を目指していく。