会見終了後、記者団に囲まれて質疑に応じるシャープの高橋興三社長=4日、東京都港区【拡大】
◆「技術流出全くない」
「100年を超える会社のDNAを残しながら…」。高橋社長は支援先選びで重視する点を聞かれると、郭会長の言葉と自らの言葉を重ねた。鴻海は過去、一度は合意したシャープへの出資を見送った経緯があり、不信感を持つ関係者は多い。しかし高橋社長は「技術流出は全くないことが、信頼関係が熟成できている一つの例だ。今は互いに尊敬し合っている」と説明し、鴻海側への配慮をみせた。
高橋社長は記者会見の直前まで、主力取引銀行の三菱東京UFJ銀行、みずほ銀行が持ち込んだ革新機構の支援を断ることは難しいと考えていた。ただシャープの取締役13人のうち、5人の社外取締役を中心に「機構案では合理的な説明がつかない」と再考を求める声が上がった。
鴻海が巨額の拠出に加えて好条件を提示すると、革新機構も3000億円の出資や2000億円の融資枠の設定、主要取引銀行による3500億円の債務削減をシャープに示して対抗した。
高橋社長は鴻海、革新機構の両者とも事業や雇用の維持などを了承していることを明かしたが、革新機構は過去の出資に際して大規模なリストラを行った経緯もあり、雇用に対する不安はぬぐえない。
鴻海の好条件をけると、会社に損害を与えたとして善管注意義務を問われる株主代表訴訟に巻き込まれることを防ぐ思惑が透けてみえた。このため取締役間の意見の調整が必要となり、ぎりぎりまで交渉が続いた。
そして、翌4日朝の取締役会で決まったのは、鴻海案を軸に交渉を進めることだった。
主力取引行も、再度の金融支援に踏み切ることには難色を示す声も根強かった。ここにも鴻海は手を打っていた。