だが、平成27年4~12月期では77億円の赤字を計上。通期予想も30億円の黒字から70億円の赤字に下方修正した。大規模太陽光発電所(メガソーラー)の需要伸び悩みなどで市場は縮小するとの予測もあり、先行きは不透明だ。
郭会長はまた、「若い人たちに出資する。40歳以下の人は切らない」と強調した。40歳を超える中高年社員の雇用は保証しないとも受け取れる。昨年9月末時点でシャープ社員の平均年齢は43・3歳。若手を中心に人材流出は続いており、多くの社員が安泰とはいえない状況だ。
これまでシャープは、不採算事業の撤退と3千億円の本体出資を軸とする革新機構の再建案受け入れで調整していたが、7千億円規模の巨額の資金を用意し一体再生や雇用の維持を強調する鴻海案に傾いた。
ただ、SMBC日興証券の原田賢太郎・クレジットアナリストは「シャープの設備過剰感はぬぐえない。鴻海傘下でも一定のリストラは必要ではないか」と指摘する。
シャープは鴻海との「信頼関係を築いた」(高橋社長)とするが、交渉決裂に備え、革新機構との協議を続ける道を残している。神経戦が続きそうだ。