中国と関わるきっかけを作ってくれた下河辺淳さんと【拡大】
■日中の“懸け橋” 友の死に誓い
中国との関わりが随分と増え、昨年だけでも5回、訪中しました。
◆視察ツアーに参加
そもそものきっかけは、元国土事務次官の下河辺淳さんが数十年前から日中交流の一つとして、日本で活躍しているさまざまなテーマの専門家を連れて毎年、中国のいろんな地域を十数名で視察するツアーをされていて、私も生活者代表として呼んでいただいたことです。下河辺さんには、中国とのきっかけを作っていただいただけではなく、経営者としての考え方についても、ご指導いただきました。「今はどんなに厳しく貧しくても、物欲しげな態度を見せるな。目先の利益のみ心奪われず、100年後の人に評価されるような仕事をしなさい」と。
私が参加させていただいたのはチベット訪問でした。中国の成都から小さな飛行機に乗り、いきなり高度4000メートルの空港にドンと着陸したとたん、高山病になりました。そのおかげでチベットの名医から診察を受ける幸運に恵まれました。その名医は私の目をのぞき込み、脈診して、こう穏やかに説明してくれました。「大丈夫。人間の気、血、水の生命3要素が、いきなり極限環境に連れて来られてすぐに順応できないだけ。これはむしろ正常な反応です」
その一言で心身が穏やかな気持ちになり、薬草茶を飲ませていただき、一晩寝たらすっかり良くなりました。日本の高度医療と比べて、医師の五感で受け止め、患者の心と向き合い、しっかり語りかけてくれるチベットの名医に医療の原点を見せていただいた思いがして、それをきっかけに電子機器やデータだけでない医療のあり方に強く関心を持つようになりました。