中国と関わるきっかけを作ってくれた下河辺淳さんと【拡大】
◆史さんとの約束
次第に中国との交流が深まっていき、中国の指導者層や経済人らと付き合うようになりました。その一人が親友となる史さんです。二十数年前、私が取り組んでいた世界女性起業家交流事業で、中国代表として多くの方を率いて参加してくれました。いつも人々を包み込む、やさしい笑顔と思慮深い温かい言葉を絶やさない方です。さすが中国の働く女性の頂点に立つ方、私と史さんは初対面からお互いにひかれあい、仲良くなりました。
史さんは「中国女性連合会」という巨大な集団のトップとして、後に国連のグリーンエコノミー中国代表にもなった国の要人でした。お会いするといつも決まって「もうじき定年になりますから、そうしたら今野さんと一緒に日中の懸け橋になるようなビジネスを通して、新しい歴史を築きましょうね」と話してくれ、私たちはその夢を実現させることを固く約束し合っていました。
ところが予期せぬことが起きました。4年前、私が北京を訪問した際、彼女は超多忙の中、私のホテルに迎えに来てくれることになりました。その日はPM2.5が重くのしかかって見晴らしが悪く、その上、大渋滞。彼女はなかなか到着しません。やきもきしながら待っていると、向かっている車の中で彼女が倒れたとの一報が入ったのです。救急病院に運ばれ、数日後、集中治療室に入ったまま彼女はあっけなく他界したのでした。