【異変 携帯販売】(下)
総務省の携帯電話料金引き下げに関する作業部会の議論が終盤に入った昨年11月下旬、NTTドコモの幹部の車が官邸に入った。会ったのは菅義偉官房長官だ。
幹部は「当社としては第1弾として0円端末をなくします」と説明。官房長官は「第2弾、第3弾もやるんですね」とその幹部に念押しした。
これに対し、幹部の説明はこうだった。第2弾は2016年4月末の年度末決算会見で、第3弾は7月末の第1四半期決算会見で発表する。そして第4弾は、9月とみられるアイフォーンの次期モデル発売に合わせて行う-。ドコモは「第4弾」までの段階的計画を披露して官房長官を納得させた。
昨年9月の経済財政諮問会議で安倍晋三首相が「携帯電話料金の家計負担軽減が大きな課題」と発言し、高市早苗総務相に指示して始まった携帯料金引き下げ論議。黒子は元総務相でもある菅官房長官といわれる。昵懇(じっこん)のドコモ幹部を呼びつけたのは官邸主導を証明するものだ。
狂った目算
しかしその後、ドコモの「計画」は修正を余儀なくされたようだ。ソフトバンクが1月7日にデータ使用量1ギガバイトまでで定額通話ができる月額4900円のライトユーザー向け携帯料金プランを業界に先駆けて発表したからだ。