ここで誰が利益を得られるのかが問題だ。まだその答えを示せる理論も蓋然性のある予想も存在しない。多くの識者が注目するのは産業生態系を支配するプラットホームを形成するのに不可欠なデータ知財をめぐる攻防戦である。例えばIoTの末端にある人工知能は大量に生み出されるビッグデータが“栄養”となりその性能を向上させる。そのため人工知能を保有する企業は、いかにして多くのデータを人工知能に供給できるかを競っている。同時に人工知能がこれらのデータを基に、より高い価値のある情報を生み出すことができれば、この情報を自らの財産として保護したいと考える。一方、データを生み出す側の事業者は、人工知能を活用するとともに、自ら生み出すデータで、自らが利益を上げたいと思うので、データを囲い込んで自らの財産として活用する権利を確保したいと考える。そこにデータの活用をめぐる攻防が始まるのである。