【トップの素顔】今野由梨　ダイヤル・サービス社長（３５） (1/3ページ)

　■何一つ無駄な経験はない

　ダイヤル・サービスでは、社員に対して学歴や性別、年齢、国籍など一切、問いません。ただ一つ、入社のときに約束してもらっていることがあります。「明るく、元気に、前向きに、世のため、人のため、国のため」です。

　◆地獄の日々に感謝

　１９６９年に女性として、日本初のニュービジネスを起業しましたが、そのせいで、当然とはいえ今では考えられないつらい思いをしました。創業間もないころから何度も行き詰まり、会社をたたもうと思ったこともあれば、全くのぬれぎぬで新聞沙汰にされ、女性経営者ネタだからと追いかけ回され、親姉妹にまでつらい目を味わわせたこともありました。

　地獄のような日々の体験を繰り返すうち、もしかしたらこれには何か意味があるはずと思うようになりました。これからの時代に生かすために、私を選んで、私を信じて、こうした試練をいただいているのでは、と。そして今では「こんな経験をさせてくださって、本当にありがとうございます」と素直に感謝できるようになりました。だって、今の時代、同じ経験をしたくても、たとえ何億円積んでもそれはできません。やはり感謝です。おかげで強く、賢く？　なりましたから。

　いま、「ベンチャーの母」として多くの起業家が訪ねてきます。そんなときにも言っています。「使命感を持って始めたことならば、１回や２回の地獄に落ちたくらいでそんなに落ち込むのはみっともない」と。