【eco最前線を聞く】液体バイオマス発電の普及目指す (2/3ページ)

2016.2.29 05:00

インタビューに応じるナノフュエルの松村健彦社長=川崎市川崎区の同社

インタビューに応じるナノフュエルの松村健彦社長=川崎市川崎区の同社【拡大】

 --過去にも廃天ぷら油などを燃料に自動車を走らせるといったこともあったが、なかなかうまくいかない

 「一般的にパームを含む植物油は粘度が高く、しかも引火点が低いのでエンジンの燃料には向かない。さらにリンを多く含む。このため高温にさらされるとリン酸塩が出て、これがエンジンの中で固まってしまう。つまり、燃焼しても数時間でエンジンが止まってしまう。そこでリン酸塩をなくす、またはリン酸塩が発生しないような技術が必要となった」

 --どうやってリン酸塩を除去するのか

 「もともとリン酸塩は水にくっつく性質がある。そこでパーム油に水を入れて、120度に加熱したあと、遠心分離器でリン酸塩を分離させて取り除く方法がとられていたが、これだと含まれるリンの50%くらいしか除去できない」

 ◆水の粒子をナノメートル級に

 --そこでナノフュエルのナノ化技術が登場する

 「まず水を直径ナノメートル級に小さくした粒子をパーム油に入れる。一定容積の水の粒子をナノメートル級まで小さくすると、水の表面積が1000倍にも大きくなる。もともとリン酸塩は水とくっつきやすいが、表面積を大きくした水の粒子とではより結合しやすくなる。その結果、96~97%程度のリンが除去できるようになった。常温でも除去できるため、リン酸塩除去で120度に温めるときの光熱費なども減らせる」

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