インタビューに応じるナノフュエルの松村健彦社長=川崎市川崎区の同社【拡大】
--リン酸塩の問題は解決できたが、引火点の課題は残る
「石油系燃料の引火点は60~90度くらいだが、パーム油は230度。つまりパーム油が燃え始めるまでに時間がかかるし、燃え切るまでも時間がかかる。そこでパーム油からリン酸塩を除去した段階で遠心分離器にかけ、先ほどの工程で取り切れなかったリンと水を完全に除去。そこにナノ化した水を加えナノ燃料化する。こうして燃焼効率が高いパーム油が誕生する。農業用ポンプなどに使われる毎分3000回転クラスの小型エンジンにこの燃料を使うと400時間連続で燃焼できた」
--この技術の普及は
「既に大手企業から出力10メガ(1メガは1000キロ)ワット級の発電所の燃料として、このパーム油を使った液体バイオマス燃料を使えないかとの打診を受けている。パーム油を使って発電したいという企業も少なくなく、そうした企業に売り込みたい」(松村信仁)
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【プロフィル】松村健彦
まつむら・たけひこ 岩手大農卒。竹中土木などを経て1995年マイクロデバイス社長、96年総合美容医科学研究所社長、2009年ナノフュエル社長。57歳。群馬県出身。