ドイツ取引所傘下のフランクフルト証券取引所のディーリングルーム。国境を越えた取引所間の合従連衡が進む(AP)【拡大】
時価総額で世界4位のドイツ取引所と5位のロンドン証券取引所(LSE)は16日、合併協議が合意に達したと発表した。欧米を中心に世界では国境を越えた取引所間の合従連衡が進んでいる。規模拡大により、お金のかかる取引システムへの投資効率を高め、世界から投資家を呼び込むことが勝ち残りの方策となるためだ。取引所の規模拡大競争が激化する中、日本取引所グループ(JPX)など日本勢も競争力強化が待ったなしだ。
欧米の取引所をめぐる再編の動きは近年、顕在化している。2012年に香港取引所がロンドン金属取引所を買収。13年には、高度な金融技術を駆使した金融派生商品(デリバティブ)取引に強みを持つ米インターコンチネンタル取引所(ICE)が、ニューヨーク証券取引所を傘下に持つNYSEユーロネクスト(当時)を買収した。
取引所再編の背景の一つがシステム投資の効率化だ。高速取引が主流となる中、定期的な改修に伴うシステム投資額は増大している。投資余力を高めるには合従連衡による規模拡大を通じた効率化が不可欠だ。
独英の両取引所の合併が実現すればシカゴ・マーカンタイル取引所を擁する米CMEグループとICE、香港取引所を加え、世界の主要取引所は「4強」態勢となる。いずれも時価総額300億ドル(約3兆4千億円)前後の規模で、日本勢は地盤沈下をどう防ぐかが課題だ。
日本では平成25年、東京証券取引所と大阪証券取引所(現大阪取引所)が統合し、JPXが発足した。ただ、ICEなど世界の主な取引所は現物株式のほか、商品先物を含めた幅広いデリバティブを扱う「総合取引所化」が進んでいる。
JPXの清田瞭(あきら)最高経営責任者(CEO)は「総合取引所の実現に向かいたい」と前向きだが、監督官庁の違いなどから、実現への道筋は見えていない。