「じゃがりこ」のPOPの横に立つ加藤孝一氏。立体器具は大量発注が常識だったが、1台からでも受注できるようにした【拡大】
--新システムを構築した経緯は
「商品を陳列する段ボール製の立体器具は生産工程が複雑なため、多大なコストを要する。例えば大量発注の場合、1台当たりの購入金額は数千円で済んでも、追加発注を含め少量の発注であれば数万円に跳ね上がるケースもある。使い切る自信がないのにコスト対策の一環として発注した場合、保管料の支払いに加え、最終的に焼却処分してCO2を排出する可能性が大きい。結果として地球環境への負担は大きくなってしまう」
--こうしたサイクルから脱却するために仕掛けたことは
「埼玉県飯能市に新たな拠点を開設。カッティングマシンとインクジェットプリンターを組み合わせた設備を導入することで、不可能といわれていた立体器具1個からの制作も請け負う態勢を整えた。顧客は在庫を減らせるため店頭ツール関連の大幅なコスト削減を実現できる。また大量の器具が残っていると競合メーカーの新たな一手に対応しにくいが、機敏に対策を講じることができる」
--昨年の「気候変動枠組み条約第21回締約国会議」(COP21)で、日本は2030年までに温室効果ガス排出量の26%削減(13年比)を公約した
「高いハードルだと認識している。CO2対策を強化するには、エネルギーを要するリサイクルに力を入れるだけではなく『作らない』という考え方に沿った行動も必要。その意味で、店頭営業でのCO2対策を支援する今回の新たな取り組みは意義がある。CO2の排出量が少ない企業が評価され、株価まで影響するという潮流は世界的に強まるはず。環境経営の必要性といった観点からも、新システムの普及に力をいれたい」(伊藤俊祐)
◇