2015年度の企業年金の平均運用利回りがマイナス1.07%となり、10年度以来5年ぶりにマイナス圏に沈んだことが格付投資情報センター(R&I)の調査で分かった。日銀の大規模な金融緩和の追い風が失速し円高株安になったためだ。
R&Iが4月、全国約110の確定給付企業年金や厚生年金基金などのデータを集計した。
企業年金は、国内外の株式や債券を中心に資産を運用している。このうち国内株は15年夏以降に中国の景気減速などを懸念する売りが膨らんで株価が急落し損失が出た。
円相場は16年2月に1ドル=121円台から一時110円台まで急伸し、企業年金が持つ外国の株や債券は、円に換算した金額が目減りした。
一方、国内の債券運用は堅調だった。日銀のマイナス金利導入で長期金利が急低下すると、逆に国債価格は上昇するため、値上がりに伴う評価益を確保した。だが資産運用全体の損失をカバーできなかった。
みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは、今後も米国が緩和的な金融政策を続けるとみて一段の円高を予想する。「国内は消費低迷が続き新興国経済も良くない」といい16年度も日本株は軟調に推移するとみている。
R&Iによると、企業年金は11~14年度に利回りがプラスだったため「当面は大きな財務上の問題は生じない」(担当者)という。ただ、運用損が深刻になれば、約束した年金給付を実施するために企業側が穴埋めを迫られ、経営の打撃となる恐れもある。