しかし今回の問題が揺らいでいる同社経営に一層の打撃となるのは確実だ。対象拡大で米国以外でもリコールが広がれば、費用負担は膨大になる。ただでさえ同社の2015年12月末の自己資本は1439億円、手元資金は656億円にとどまる。業績も13年3月期~15年3月期の最終損益が合算で395億円の赤字。16年3月期の連結決算ではリコール関連の特別損失を既に計約200億円計上しており、最終赤字の継続は避けられない見通しだ。
訴訟リスクも抱えており、SMBC日興証券の阿竹敬之クレジットリサーチ課長は「仮にタカタのリコールの費用負担割合が2割程度だったとしても、債務超過や手元資金不足などのリスクが強く意識される状況になる」と指摘する。
タカタは財務リスクに対処するため資本増強を目指して出資企業を探すが、今回のリコール対象拡大が協議に影響を及ぼすのは避けられない。加えて、いったん自動車メーカーが負担したリコール費用についてタカタとの分担割合を決める交渉に響くのも確実で、合意がさらに難しくなる恐れがある。経営再建に向けた道筋はなおも見えない。(今井裕治)