トヨタ自動車が“試練”の時を迎えている。業績を押し上げてきた円安が一転、円高に転じて大打撃となるためだ。さらに熊本地震に伴う生産影響や新興国経済の減速、タカタ製欠陥エアバッグをめぐる対策費用の増大も見込まれ、「四重苦」として経営に重くのしかかる。“お家芸”とする原価低減で逆風をどうはねのけるか。トヨタの真価が問われる。
「潮目が大きく変わった」。豊田章男社長は11日の記者会見で、足元の経営を取り巻く外部環境の変化にこう危機感を示した。
念頭にあるのは年初から急速に進んだ円高。トヨタの場合、対ドルの円相場が1円円高に振れると年400億円の営業利益が吹き飛ぶためだ。トヨタの平成29年3月期の営業利益は前期から1兆1539億円減る見込みだが、うち円高だけで9千億円超もの減益要因になる見通し。前期は円安で逆に1600億円の増益要因となっただけに、「為替の影響がやはり大きい」と伊地知隆彦副社長も会見で認めざるを得なかった。
リスクは為替にとどまらない。熊本、大分両県を中心とした地震に伴う生産停止で業績が押し下げられる可能性が高いからだ。トヨタでは、同地震に伴い8万台の生産に遅れが出ると見込む。国内工場は4月25日以降、順次操業を再開させており、今月16~21日には全完成車工場を再開させる。その後の増産で遅れを取り戻したい考えだが、生産停止に伴う業績への影響はまだ「精査中」(伊地知副社長)の段階。想定以上に損失が膨らめば業績の下方圧力にもなりかねない。