日本画の巨匠、伊東深水氏が香り文化を代表するロングセラー商品「花の花」を一緒に描いた貴重な作品と【拡大】
将来の戦略はオリンピックでメダルを獲得するために、ロードマップを作るのと同じです。4年後の東京オリンピックで金メダルを取ると目標を定めたら、トレーニングのカリキュラムを組み、国内予選を必ず勝ち、日本代表に選ばれ、金メダルへの道を進むのです。国内予選で敗退すれば、金メダルの夢は終わりです。慶應大学時代ボート部時代のお話で紹介した「勝つのは一人」は常に経営上の指針としています。高校野球で地区予選でも甲子園の決勝でも、1度の負けで同じ敗者です。一度も負けなかった1チームだけが勝者になるのです。
強敵を前にして、勝てないと思うことは度々あるでしょう。でも、負けてしまっては終わり。そんなとき、ある体験を思い出します。
◆勝利を体で覚える
昭和40(1965)年、大阪の孔官堂から完全独立して、売り上げの70%を占めていたブランド「蘭月」を手放し、その「蘭月」が逆にライバルとなって立ちはだかる中、「青雲」を開発して販売を始めたときのことです。ゼロからのスタート、誰の目にも勝算はなし、と映ったでしょう。
父、正規の指示は「孔官堂が行っていないところに行け」でした。そんな地域はほとんどありません。すると「島を攻略しろ」と。私たち社員は、伊豆七島、隠岐の島、九州の島々に行き、1店舗ずつ青雲を置いてもらうよう頭を下げて回りました。全体から見れば販売量は微々たるものかもしれません。しかし、局地戦で一つ一つ勝利していくこと、勝つことを体で覚えること、どこかに勝機があること、それを父は私に教えたかったのだろうと思います。文化大革命の時、中国に滞在すると毛沢東語録を読まされていましたから、それは毛沢東と同じ戦略だったと気付かされました。