□ビズライト・テクノロジー代表取締役社長 田中博見
「ビッグデータ」という言葉を、誰が、どこで、いつ使い始めたかは、はっきりしないらしい。数年前までは、もっともらしい説明がつけられていても定義がはっきりしない“バズワード”だった。しかし最近になって“まじめ”(失礼!)な例がどんどん報告されるようになってきた。
「多変量解析」という言葉を聞いたことがあるだろうか。さまざまなパラメーター(変数)から相関を見つけ出し、マーケティングに代表される事業の知見を得ることを指す。気温や湿度、天気などとビールの売り上げにどのような相関関係があるかを調べる統計的手法といえば理解していただけるだろう。かなり乱暴に言うと、その元となるデータ数が膨大であったときに「ビッグデータ」、それを解析することを「ビッグデータ解析」と呼ぶ。
小売りの現場では昔から「この商品を買った人はあの商品も高い確率で購入する」「この商品はこういう属性の人が買う」といった分析が数多く行われており、その根底となる統計手法自体が著しい進化を遂げているわけではない。しかしセンサーや、あらゆるものがネットにつながるIoT(Internet of Things)、街中にある監視カメラ、インターネットアクセス履歴、スマートフォンの履歴、衛星利用測位システム(GPS)などによって私たちの行動があらゆるところで収集できるようになってきたため、統計や分析の元となるデータが膨大になっている。さらに高性能なコンピューターがこれを解析している。つまり「ビッグデータの源泉は、実はセンシングである」と定義できる。