外国籍社員の採用を始めた頃は「特別扱いしないこと」を重視し、日本国籍の社員と同等の教育・評価を行ってきたが、入社後の定着率は思わしくなかった。平等を意識するあまり、言葉の壁や文化・風習の違いなど外国籍社員が持つ固有の悩みに気づかなかったからだ。そこで3年前から外国籍社員に向けたフォローを厚くし、受け入れ側にも外国籍社員を採用する意図をきちんと伝えることにした。
すると効果はてきめん。14年4月入社の外国籍社員20人のうち退社は3人にとどまった。翌年は27人中3人と、退職率は11%に激減した。
その理由は、小林会長の講話を聞くことで理解することができた。外国籍とその上司の日本人とのトラブルでよくあることとして(1)なぜ「分かった」といったのに実行してくれないの?(2)なぜ「ありがとう」と言わないの?(3)なぜ謝るべきときなのに謝らないの?(4)なぜ上司や年配者でもタメ口なの?-を挙げた。
(1)についての解決策は、日本人のように「言えば分かる」わけではないので、上司は具体的に分かりやすく伝える必要があると指摘。(2)は相手に習慣がないうえ、日本人は指示命令が下手と一刀両断。(3)と(4)は教えるしかないと明解だ。